子育ては足りないことばかり 絵本『ポケットのないカンガルー』

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子育てって、どうしてこううまくいかないことばかりなのでしょう?
子どもに 食べさせて、なんとか園や学校へ送り出し、
帰ってきたらお風呂に入れて、また食べさせて寝かせる。

それだけで精一杯。
それすらうまくいかないことなんかしょっちゅうです。

そんなとき、
「私にはこれが足りないからだ」
「私がもっと頑張ればいいんだ」
と、思ってしまう ママたちは多いのではないでしょうか。
足りないものとは例えば… 

子どもと遊ぶのが苦手
収入がなくて欲しいもを与えてやれない
子どもをかわいいと思えない
シングルで育児の人出が足りない などなど

私の場合は、母乳が出にくかったことが第一の「足りない」でした。
そして、その後も足りないことばかりです。
転勤族であるために、周りのサポートが得られないことが多いです。
お友達の家はおばあちゃんが 一緒に遊んでくれるのに。
また、今は転勤で海外で暮らしていますが、私は英語ができないので
英語が喋れるママたちみたいにうまくできないという悩みもあります。


でもある日この絵本に出会いました。
自分がもっていない能力を嘆くのではなく、
足りないものがあれば、それを探したり補う方法を探せばいいだけのこと!
ということが書いてありました。

もし今「私の〇〇が足りないせいで、子育てが辛い」
と思っているママがいたら、
ぜひ読んでいただきたいと思っています。

Contents

母親失格と思っていた日々


私は、長女の出産後に母乳育児がうまくいかなくて、
ふとした拍子に涙がとまらなくなる日々を送っていました。

どうして、他のママたちは何の苦労もなくおっぱいをあげられているのだろう。
誰でもできることがどうして私にはうまくできないのだろう。
母親失格だ、女としても失格だ。そんなふうに思っていました。

実母からの
「赤ちゃんがおっぱい飲みたいって泣いてるよ~」
「ミルクが足りないんじゃない?」という言葉が何より辛かったです。
地の底に落ちるような悲しみを覚えていました。


笑顔でベビーカーを押すママさんたちをうらやましく思っていました。

慣れない育児に、産後の体力不足。
母乳が出ないあせり。
いつでもどこでも泣いていてちっとも寝ない赤ちゃん。

いろいろな要因で、軽い産後うつ状態だったと思います。

ある日、
私がわが子におっぱいをあげてみたりゆすってみたり、おむつを替えてみたりしても、
大声で泣き叫び続ける赤ちゃんを抱いて泣きそうになっていた時に。

ふと目があった先輩ママが、
「頑張ってるね」と優しくうなずきながら微笑んでくれたのです。
涙が止まらないほどの安堵をおぼえました。

「頑張ってね」ではなく
「頑張ってるね」。

どこかの教育本に書いてありそうなことですが、
ギリギリの精神状態の時に受ける言葉というのはたった1文字で
こんなに違うのですね。

娘の成長とともに、少しづつ少しずつ
私の体力も精神も回復していきましたが、
その後も「母親失格」の気分はずっと持ち続けていました…。

この絵本との出会いで自分を許せた

絵本『ポケットのないカンガルー』   
絵 H.A.レイ 作 エミイ・ペイン 訳 にしうちミナミ


この絵本は ポケットのないカンガルーのお母さんのお話です
カンガルーなら誰でも持っているお腹のポケットがないカンガルーのケイティ。

ほかの親子のように、お腹のポケットに子どもを入れてぴょんぴょんどこへでも連れて行くということができません。
随分と泣いた後、ケイティは気を取り直していいことを思いつきます。
ほかの動物たちはどうやって子どもを運んでいるのかを聞いて歩くんです。
ワニは子どもを背中におんぶしていました。サルは 両手で抱えていました。
ケイティは試してみますがうまくいきません。

困ったケイティは、何でも知っているフクロウのところに行って聞いてみます。
すると、フクロウはこう言いました。
「ポケットが欲しいなら買えばいいじゃろ」ケイティはびっくりします。

「買うって、どうすればいいのですか?」
すると
「街へ行って買えばいいのさ」とフクロウが教えてくれました。

ケイティと子どものフレディは、街へ行きました。
すると、ある人に出会います。その人はエプロンをしていて、そのエプロンには沢山の工具が入っていました。

びっくりしたケイティはその人に聞いてみます。
「どうしたらその沢山のポケットがついたエプロンを買うことができるんですか?」

するとその人は、エプロンをケイティにプレゼントしてくれました。

ケイティは嬉しくて、沢山のポケットのうち一番大きなポケットにフレディを入れて、
ピュンピュン跳んで森へ帰りました。
森に帰ったフレッディは、あまったポケットにライオン、亀、鳥、などたくさんの 子どもたちを
入れてあげました。


みんなが当然持っているはずのポケットを持っておらず、
わが子を入れてやることができなかったケイティは。

世界一たくさんポケットをもつお母さんカンガルーになって
あまったポケットに我が子以外の子どもをも入れてやることができるようになったのです。

うう。涙なしには読めない絵本でした。
一緒に読んでいた子どもたちは、私がなぜ泣いているのかわからない様子。
そりゃそうだ。

なので、こう説明しました。
「ママは出来ないことがいっぱいある。
このケイティがポケットがなかったみたいに、
ママも足りないものがいっぱいあるの。
でも、そのときはこうやって、誰かに聞いてみたり、相談してみたり。
買ったり作ったり工夫すればいいだけなの。
君たちも、これから足りないことやできないことがあると思うけど。
その時はこのお話を思い出してね。」

6歳と9歳の娘に話をしてみました。
どこまで伝わったかはわかりません。
でも、折を見て、また一緒に読みたいと思っています。

私は、余ったポケットに他の子どもたちをポイポイ入れていくケイティが好き!
「うちの子」と一緒に、他の子たちもポケットに入れてあげられる人に
いつかなりたいと思っています。

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